
1998年以降、日本興亜損害保険株式会社(以下、日本興亜)の大株主となっているサウスイースタン・アセット・マネジメント(以下、サウスイースタン)は、投資アドバイザーとしての信認義務を果たすため、6月26日に予定される日本興亜の年次株主総会で兵頭誠代表取締役社長の再任について反対票を投じます。兵頭社長は、企業価値が急速に毀損された期間中に会社の指揮にあたり、また、全株主に対して、日本興亜の価値を高める計画を明確に示して実行することを怠り、私たちの信頼を損ないました。当社は、松澤建前社長をはじめとする多くの日本興亜役員に対して大きな敬意を抱くとともに強力な関係を維持してきました。松澤氏が取締役を去ることを大変残念に思っています。今回は大変不本意ながらもこのような措置に踏み切りました。
長い間当社が経営陣を支援し続けてきたこと、また、今回の決定についてたくさんの質問を受けたことから、当社では、決定の理由と将来に向けての当社の希望を皆さんにお伝えせざるを得ないと感じています。
兵頭社長再任に反対する理由
サウスイースタンは、過去1年にわたって日本興亜での兵頭社長のリーダーシップを注視してきました。その結果には失望しています。日本興亜は、世界的な保険会社になるために必要なあらゆる要素を備えていながら、一貫して市場シェアと保険引受利益の低下を招いてきました。さらに重要なことに、兵頭社長が、資本構成と投資方針の重要性を十分に理解していないということです。兵頭社長の社長在任中、日本興亜の簿価は7,660億円から5,420億円に低下し、正味収入保険料は国内四大損保と比べると落ち込みが大きく、その上収益力が低下しました。日本興亜は今年度、中核となる保険引受業務で損失を出し、大手損保の中で最悪のコンバインド・レシオとなったことを発表しています。
以上挙げたような業績の低迷がすべてを雄弁に物語っています。しかしながら、サウスイースタンは長期的な見通しに立っており、したがって、困難な時期にあっても適切な方向に進む経営者に対しては支援を行う用意があります。兵頭社長が日本興亜を世界的な保険会社に変身させる決意を明確に示していたとすれば、当社も全面的な支援を提供したはずです。残念ながら、そうした状況にはなりませんでした。
松澤前社長の指揮の下にあった日本興亜は、時に当社がその変革のスピードに異議を差し挟むことがあったとしても、方向としては適切な道を進んでいました。しかしながら、兵頭社長に変わって以降、変革のスピードが低下し、日本興亜の財務業績は悪化しました。当社はそうした懸念を兵頭社長に伝えましたが、それに対する反応は不完全で承服し難いものでした。
以上の理由により当社は兵頭社長の再任に反対票を投じます。兵頭社長の将来の行動によって、当社の評価が不正確だったという結果になることを望んでいます。
株価
経営陣は株価の短期的パフォーマンスではなく、1株当たり価値の成長に責任を負うべきだと考えています。日本興亜は、本質的価値に関する当社の保守的な評価を基準にしても、依然として著しく過小評価されています。
他の取締役に対する見解
当社は今年、他の取締役全員について、信認の証しとして賛成票を投じます。また、佐野順一郎氏を新任社外取締役として迎えることを歓迎します。当社は、佐野氏と他の取締役が、すべてのステークホールダーのために日本興亜を企業価値創造へと向かう道に軌道修正してくれることを心から希望しています。
将来計画
有能な指揮者の下で日本興亜に明るい将来が開かれることを引き続き確信しています。日本興亜は、堅実なバランスシート、「ケイレツ(系列)」のしがらみからの独立性、地域金融機関との強力なつながり、そして新興の国際事業と生命保険事業という利点を持っています。日本の損保業界は、劇的な規制改革に直面しています。日本興亜は、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイのモデルに基づく国際的なベスト・プラクティスを採用する最初の会社となることで業界をリードする可能性を持っています。そのベスト・プラクティスは、投資プロセスと保険引受プロセスを分離することによって実現されます。そうした変革によって、顧客にとっては保険料の引き下げ、規制当局にとっては一層安定的な資本比率、そして日本興亜の投資先企業に対しては説明責任の改善がもたらされるでしょう。日本興亜が自己勘定のために有効な投資を行うことで、独立したアセットマネジメントビジネスの基礎が形成されます。損保業界の他社も日本興亜の先導に従うようになった場合、日本は、損保業界それ自体に加え、同業界が運用する8兆円以上の株式ポートフォリオにおけるリターンの向上による恩恵を享受できることになるでしょう。
変革以外の道は受け入れることができません。というのも、従来の日本の損保業界は不安定な基盤の上に成り立ってきたからです。日本の損保業界は、保険引受業務で利益を得る見返りとして自社の顧客に投資してきました。そうした株式投資は、顧客の投資上のメリットを考慮することなく実行されています。長期間にわたって、日本の損保会社は惨憺たる投資成績を示してきました。2001年に日本興亜の取締役会に対して、そして2007年にも再び経営陣に対して説明したように、そうした投資成績は、何らかの単独の自然大災害が及ぼす悪影響をはるかに上回る重大な問題です。
1991年の段階で、異常損失準備金を除いた、プロフォーマの連結ベースの日本興亜の簿価は約1兆3,000億円でした。保険料収入は約6,000億円でした。現在の調整済み簿価は7,530億円で、保険料収入は約7,200億円となっています。発行済み株式総数も、1991年に比べて約10%減少しています。この16年間、経営陣は、保険料収入を拡大し、顧客に満足してもらうために大きな努力を重ねてきましたが、それにもかかわらず、1株当たりベースで、日本興亜の簿価は年複利約3%のペースで減少してきました。これに対して、1991年時点の日本国債の利回りは6.8%でした。[注記:2008年4月における調整済み簿価の見積りは7,420億円で、年間減少率はやはり約3%となる]
(2001年12月3日における日本興亜取締役会に対するO・メーソン・ホーキンスの見解説明)
損保業界の不適切な投資と限られた競争の結果として、日本の顧客は、国際的な基準から見て過大な保険料を支払わされており、一方、損保会社の株主と規制当局は、長期にわたって低水準のリターンしか獲得できない不安定な資本基盤を背負わされています。日本が真に将来に備えたいと考えた場合、投資パフォーマンスを無視しながら保険引受パフォーマンスのみを重視する損保の経営陣は、持続することが許されない偽りの道を歩んでいます。損保業界は、賢明な投資を行うか、過剰な資本を株主に還元するか、どちらかを選択する必要があります。そうでないなら、日本国民は、今後も過大な保険料を支払うことになり、株主と納税者は、今後も損保の経営陣が無駄な投資を続けるリスクを背負わされることになります。
そうした変革が難しいことは私たちも理解しています。しかし、ステークホールダーの全員が日本興亜の変身に関心を寄せていると思われます。これまでにも大きな進歩がありましたが、なすべきことは数多く残っています。
サウスイースタンでは、このように見解を開示することで日本興亜の内外での議論の端緒になればと考えています。当社も、日本興亜に対する投資の将来に関して別の選択肢を模索しながら、そうした議論から学びたいと願っています。当社は、明確な計画に基づきすべてのステークホールダーのために価値を創造することに全力を注ぐ経営陣を支援するものです。
遅くとも2010年6月までに株主に対して複数の競合する提案がなされるべきだと考えます。下記の項目がその候補になり得るでしょう。
上記の諸提案は、以下の重要な目標に取り組もうとするものです。
サウスイースタンは、日本興亜を取り巻く、変化しつつある状況に対処するためのそうした難しい問題のすべてに答を用意していると言うつもりはありません。しかしながら、私たちは、1株当たり純資産を増加させる能力と熱意を持つ取締役会・経営陣チームなら、日本興亜に関係するすべての人に恩恵をもたらし得ることを完全に確信しています。そうした恩恵は、顧客、従業員、投資家、そして広く社会全体にまで及ぶことでしょう。
この発表は、当社の議決権行使を他の株主に要請することを意図するものではなく、また他の株主が議決権を行使するに当たって当社が何らかの勧告をしようと意図するものでもありません。株主は自らの判断で投票権を行使すべきであり、このリリースに記載されている情報に依存すべきではありません。
当社は、日本での活動が10年目を迎えたのを機に、このほど日本語のウエブサイトを立ち上げました。当社沿革および投資方針は以下のサイトでご覧いただけます。
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